床置形タイプの業務用エアコンについて詳しくなろう!
業務用エアコンには、様々な形をしたタイプの物があります。どのタイプにもそれぞれ魅力的な一面があるのは間違いないのですが、その中で今回は、床置形タイプの業務用エアコンにフォーカスを当ててご紹介させていただきます。お使いの業務用エアコンが床置形業務用エアコンの方、またはこれから購入をご検討中の皆様へ、本コラムにて詳しくご説明させていただきますので是非ご参考にしてみてくださいね。
床置形タイプの業務用エアコンって?
その名の通り床に置くタイプの業務用エアコンで、通称「床置形」と呼ばれています。サイズ感の寸法はメーカーや能力により様々ではありますが、大体6馬力以下で高さ1800mm前後、幅600mm程度、厚み300mm程度と背の高めなエアコンとなっており、大きな特徴として挙げられる事項と致しましては、やはりメンテナンスや設置が容易だということが言えるでしょう。床置形の基本的な送風の仕組みとしては、本体の下半分が吸込みグリルという室内の空気を吸い込むための金属状の板で出来ており、そこから室内の空気を吸い込み、冷暖された空気を本体上部から冷暖風として放出するという流れになっています。
また、非常に豊富なラインナップがあるため、設置場所や目的に応じた風力や大きさのものを選択出来るのも魅力的なポイント。特定の場所にのみ送風出来るものもあれば、室内全体に送風することが出来るものなど幅広く種類展開がされているのもこのタイプだと言えるでしょう。更に、上下で別の方向に送風することが出来る床置形の業務用エアコンは、天井型業務用エアコンで発生しやすい温度ムラなども改善することが出来てしまうため、その点も非常に快適。病院や学校、事務所や工場、倉庫や飲食店、物販店など、あらゆる場所に設置することが可能ということも相まってか様々な場所で見られていたりします。
床置形業務用エアコンを選ぶ際のポイントは?
床置形業務用エアコンを選ぶ際にあたっては、抑えておきたい大事なポイントが4つほどございます。種類や形状などより詳しくご説明させて頂く前に、まずはこちらを一度、ご参照ください。
室内機の形状
設置場所の広さや形状から室内機を選ぶようにしましょう。スペースが狭い場所にはコンパクトなタイプが適しています。基本的に必要な馬力によって大きさが変わってくるため、能力から考えていくという方法もあります。
省エネ効率
省エネ効率は通年エネルギー消費効率で表し、高い数値ほど優れていると言えます。床置形業務用エアコンの場合、室外機のシリーズによって省エネの性能に差が出るので、各メーカーのシリーズを比較してみましょう。なお、家庭用のエアコンに比べ、業務用エアコンは消費電気量も膨大になるため、省エネ効率の高さが電気代の大きな節約に繋がります。
馬力
業務用エアコンに必要な冷暖房能力は「床面積×算出基準熱負荷」で出すことが出来ます。算出基準熱負荷とは、外気の熱や太陽の熱、照明器具や人が発する熱などを考慮した指数です。
施工
床置形業務用エアコンの設置には専門の知識が必要なため、専門業者への依頼がオススメです。例えば、同じ広さの室内に床置形業務用エアコンを置くとなっても、オフィスなのか飲食店なのかでは算出基準熱負荷が変わってくるため、その分必要な馬力も変わってきます。状況に合わせて提案をしてくれる業者を選ぶことが、重要なカギとなってくるでしょう。
床置形タイプにはどんな種類があるの?
一口に床置形タイプといっても、その形には様々なものがあります。後にメーカーごとについての特徴をご紹介させていただきますが、まずはざっくりと、どのような種類のものがあるかについてご説明させていただきます。
送付口が異なる床置形について
一般的なオフィス用・店舗用床置形業務用エアコンには、本体の上部から直接送風する直吹形(プレナム形)と本体からダクトで分岐し送風するダクト形があります。その中でも後者であるダクト形は、一般的に工場などの大きく容量を必要とする空間へ、ダクトを通じて個別に送風する場合などに使用されていたりします。ダクト形はダクト接続・天井開口工事などが必要にはなってしまいますが、お好みの場所に吹出口を設置することが出来るため、室内の目的に応じて自由に設計することが可能になり、その分幅が広がると言えるでしょう。
豊富なラインナップと特殊機能がある設備用について
床置形業務用エアコンには、オフィス用や店舗用のエアコンとして販売されている汎用機と呼ばれるものと、工場などの大容量の能力が求められる場所に設置することを目的としている設備用エアコンと呼ばれるものがあります。設備用エアコンは耐熱性・耐久性に長けており、油煙が多く発生する現場、生産ラインの対人の空調、サーバールーム、粉塵発生が多い場所、湿度と温度を安定させたい現場、高い清浄度を必要とする現場などに多く採用されています。その能力のラインナップは小さいもので5馬力から、大きいものになってくると100馬力のものも存在し、前述した通りダクト形とプレナム形があり、生産ラインのみの空調が必要とする場所へ送風するダクト形にするか、複数台を据え付け全体を一定温度に保つ目的のプレナム形にするか考えていきます。
また、設備用エアコンには、室内・室外ユニットが一体形になった空冷式一体形パッケージエアコンというものがあります。これには換気を必要とする空間に外気処理モードで外気を取り入れる機能、内部洗浄可能仕様、フィルターメンテナンスの省力化に対応するためのロングライフフィルター標準装備搭載、節電に配慮したデマンド機能、コントローラーを設置して集中管理システムを構築することも可能です。このように様々な用途と目的に合わせた空調設計が出来るというメリットがある反面、本体自体が高額であるため、購入の際にはある程度の予算設計を行ってロスのないコストで導入することが重要だと言えます。
床置可動型スポットエアコンについて
床置形のラインナップの内の一つに、スポットエアコンと呼ばれるものがあります。こちらは分類としては床置形ではありますが、キャスターが下に付いているため可動形。本体の上部のダクトから冷風が出る仕組みになっています。局所空調を目的としたエアコンであるため室内の温度を一定に下げるというよりかは、冷やしたい物や人に直接当てて快適性を得るためのエアコンと言えます。ちなみにこちらには冷房機能のみ搭載されており、暖房機能は搭載されていません。
メーカーごとの床置形業務用エアコンの特徴
業務用エアコンを取り扱っているメーカーには様々なところがございますが、その中で今回紹介している床置形業務用エアコンを取り扱っているメーカーは「ダイキン」「パナソニック」「三菱電機」「日立」の計・4社となっています。メーカーごとによって床置形業務用エアコンの特徴がそれぞれ異なってくるので、次はこちらについて詳しくご紹介させていただきます。
ダイキンの床置形業務用エアコン
床置形業務用エアコンにおいて、ダイキンは業界トップクラスの低騒音化の実現と室内のすみずみまで快適に出来る独自の機能を多く搭載しているのが大きな特徴です。8枚にも並ぶルーパーを操作し、冷房の際は「上向き+水平」暖房の際は「下向き+水平」と空気の流れに合わせた動きに変わり足元までしっかりと気流が届くように作られています。また、負荷に応じた風量自動抑制機能が急・強・弱の計・3段階で切り替えが可能なのも魅力的。
特にオススメなのは「FIVE STAR ZEASシリーズ」。人の動きに合わせエアコンの運転を調整するセンシング機能と呼ばれるものを搭載しており、快適性と省エネに非常に優れている製品です。全機種に地球温暖化への影響が少ない新冷媒であるR32を採用しているのもポイントで、床温度と人感知が分かる2つのセンサーでランニングコストの節約も実現可能となっています。
パナソニックの床置形業務用エアコン
薄型のデザインで主に病院や一般商店、事務所など様々な場所で活躍可能な床置形業務用エアコンを揃えているのがパナソニックです。独自の「ナノイーX」技術で空気中の汚れやにおいや内部のカビの発生を抑制し、常にエアコンを清潔に使用することが出来るのも魅力的な要素の一つ。
中でもオススメなのが「Gシリーズ」と呼ばれるもの。R32冷媒の省エネ性能に優れている上に、機能部品を徹底的に改良した製品となっています。超省エネで期間消費電力を大幅に下げる技術に成功し、人感センサーと床温センサー機能があるため、状況に応じた節電制御が可能です。
三菱電機の床置形業務用エアコン
業界トップクラスのスリムさを誇る床置形業務用エアコンを揃えており、P50~P80形の大きさは幅470mm、高さ1,700mmとなっています。大きな液晶画面とMAスマートリモコンを内蔵しているため、節電の操作など豊富な運転管理機能が使いやすい設計となっているのも魅力的なポイント。左右スイングで幅広い送風が可能になっており、快適性に特化していると言えるでしょう。
特にオススメのシリーズが「スリムZRシリーズ」です。こちらは省エネ技術をアップさせたことで、ランニングコストの大幅な削減が実現可能の製品となっています。中でも最新機種では、三菱電機独自の「SiCパワー半導体」技術を業界で初めて採用し、約30%以上の電力損失を減らすことが出来ます。
日立の床置形業務用エアコン
大きな液晶画面で確認出来る多機能操作パネルが標準装備された、コンパクトサイズのものが特徴的な日立の床置形業務用エアコン。ロングライフフィルターを標準装備しており、約2,500時間にも及ぶメンテナンスが不要になったのが大きな進歩と言えるでしょう。その他に電気品箱、ファンモーターのメンテナンスやフィルターの取り外しが容易な設計になっているのもポイントです。また、160形以下では従来機よりも9~24%の軽量化に成功し、その結果搬入作業がしやすくなったため、工事面においても優しいとも言えます。
その中でも特に「省エネの達人」のシリーズは、他社メーカーの中でも最も価格重視で導入費用を抑えたい方にはイチオシの製品と言えるでしょう。コスパが抑えられる仕組みは、1台の室外機に対し複数の室外機を接続出来ることから。また、それぞれの室内ユニットは個別に運転を制御することが出来るため、使用状況や環境に合わせて空調設定が可能です。
床置形業務用エアコンのメリットとデメリット
万能な床置形業務用エアコンですが、やはりそれぞれメリットとデメリットがあるのも事実です。もちろんメリットの方が多いのですが、最後にそちらについて詳しくご説明させていただきます。
メリットについて
床置形業務用エアコンのメリットは、大きく分けて4つ挙げられます。その内のまず一つめが、「天井クレーンに干渉しない」ということ。例えば天井型業務用エアコンの場合、倉庫や工場の天井クレーンを利用並びに設置する際に天井のエアコンがつい邪魔になってしまったり、クレーンがあるためにエアコンを設置出来ないといった部分が出て来てしまうことがありますが、床置形の場合はその心配が一切無用でクレーンに干渉せず安心して設置することが出来ます。
次に挙げられるのが「メンテナンスがしやすい」ということ。高い天井に設置する業務用エアコンは、足場を作って作業しなければならないこともあるため、ついメンテナンス費用が高くなってしまいがちです。ですが床置形であれば、その点も大丈夫。足場を作る必要性もなくかつ作業規模も小さくなるので、費用自体も抑えることが出来ます。また、日頃のお手入れも手軽に出来たり、状態を把握したりしやすいのも大きなメリットと言えるでしょう。
その次に挙げられるのが「一定のスポットに送風出来る」ということ。エアコンはとくに広い施設だと、全体に風を送るには必然的に台数を増やしたり出力を上げたりしなくてはなりません。その点床置形業務用エアコンは一定のスポットのみに送風が出来るため、人が集まるところや作業スペースなどに設置することで集中的にそのスポットにのみ風を届けることが出来ます。それにより結果、台数を最小限化出来たり電気代を抑えることが出来るようになるため、コストを安くすることが可能になります。
最後に挙げられるのが「冷暖房効率が上がる」ということ。例えば壁掛型業務用エアコンは高い位置から温風を送るため、足元が上手く暖まらないということがよくあります。その反面床置形業務用エアコンであれば、足元から温風を出せる天井付近はもちろん、床付近まで暖かさを感じることが出来るようになります。
デメリットについて
以上のように多くのメリットがある床置形業務用エアコンですが、その反面デメリットもあります。それは導入する種類や施設の広さによっては、スペースが狭くなってしまうということ。最近ではスタイリッシュなタイプも増えてはきているのですが、それでも最低限のスペースは確保が必要になってしまいます。また、排水管ルートを確保出来ない場所だと設置出来ないといった点も注意が必要です。
まとめ
床置形業務用エアコンには様々な種類があり、メンテナンスや設置がしやすく、更には人のいる場所に集中的に送風が可能といった素敵な要素がたくさん詰まった製品であることは間違いありません。また、メーカーごとに個性があるのも魅力的ですよね。置くスペースを確保することなど検討すべき部分をしっかり確認した上で、機種を決定していきましょう。
今回ご紹介させていただいた床置形業務用エアコンのことについてのご相談やその他ご質問については、お気軽に是非アルファシステムまでお問い合わせください!